青山悟展「The Lonely Labourer」
2019年10月02日(水)〜2019年11月02日(土)
青山悟はイギリスの大学でテキスタイル・アートを専攻し、そこでシンガー社製の古いミシンに出会って以来、機械と人間の関わりや、時代によって変化する労働の在り方など、ミシンに纏わる言語を考察しながら刺繍作品を制作しています。
2年ぶりの個展となる本展では、刺繍と映像によるインスタレーションや、新たな試みであるシルクスクリーンに刺繍を施した作品、そして古い工業用ミシンによる制作で知られる作家にとって初の試みであるコンピューターミシンを用いた作品により構成されます。
《News From Nowhere(Labour Day)》は前回の個展で発表した、19世紀の雑誌の挿画に刺繍を施した作品の延長にありますが、新たに取り入れたシルクスクリーンの技法により、大型の作品制作を可能にしました。本作は、19世紀のニューヨークで行われた「労働者の日」の風景に、近年世界で起こったデモや活動の旗と共に作家自身の活動のスローガンを謳った旗を加え、さらにインターネットから拾い上げられたアートや映画、音楽などのカルチャーを織り込んだ、現代の風刺画ともいえるものです。
今回の作品を通して青山は「急速なテクノロジーの進歩と共に変容していく社会の中で、人間性の在り処、さらに美意識や芸術そのものの在り処は一体どこにあるのか?」という問いを提示するとともに、未来における労働のあり方と、作家本人の制作のこれからについても疑問を投げかけています。
美しく精巧な刺繍の奥に、風刺とユーモアを内包する青山悟の新作をぜひご高覧いただけましたら幸いです。
- 日時
- 2019年10月2日(水)〜11月2日(土)11時〜19時
- 休み
- 日曜・月曜・祝日
- 出展作家
- 青山悟
(敬称略)