講習会「火災性状予測計算ハンドブック」
防火設計は、古くは仕様書的な基準に従って各部の構造、材料、設備の仕様を定めることが設計の主たる作業でしたが、今世紀初頭に性能的火災安全設計法が導入され、想定される火災の実況に応じて、過不足なく対策を組み合わせて合理的に安全を組み立てる考え方が示されてきました。それ以来、避難安全、消防活動、防火区画、構造耐火などの分野毎に性能的な考えに基づいた指針類が徐々に整備され、本会からもいくつかの書を刊行しています。そして、火災安全設計の個別の分野においては、これらの指針類が実務を先導する設計者の拠り所として使われてきました。
しかし、防火設計の各分野を網羅して火災性状計算を行うための指針は存在せず、専門技術者が各分野の指針を熟読して検討を進めるしか方法がありませんでした。本書は、これに応えるため、建築物の火災安全設計で通常必要となる基本的な火災性状計算を網羅的に解説し、設計実務者の助けとなるように作成されました。
本書の構成と趣旨は、本会近畿支部防災計画部会により作成された「関数電卓による火災性状予測計算(2001年3月)」をベースとしています。同書では、火災安全設計実務における利便性を考慮して、関数電卓程度で計算可能な火災性状予測手法の検討・整理を行ったものでしたが、本書もその考え方を引き継ぎ、対象とする範囲を今日に合わせて拡張したものです。そのため、火災性状を正確に予測することよりは、迅速に安全側の予測を行うことに重きを置いています。
本書を用いれば、実務設計者が複数の設計案の比較検討を行う場合に、迅速に答えを得ることができ、思考が途切れることなく設計を進めるための一助となることを目指しています。
- 日程
- 2018年3月2日(金)13時30分〜17時
- プログラム
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主旨説明 原田和典(京都大学)
1章 燃焼、火災荷重
野秋政希(建築研究所)2章 乱流拡散火炎の高さ
3章 火災プルーム
新谷祐介(竹中工務店)4章 開口流量
5章 熱移動
6章 盛期火災
北堀純(明野設備研究所)7章 開口噴出熱気流
野秋政希(前掲)8章 煙の流動と制御
9章 避難
峯岸良和(竹中工務店)司会 山田茂(フジタ)
(敬称略) - 料金
- 一般15,000円(テキスト代を含む)
テキスト『火災性状予測計算ハンドブック』A4判、約200頁 - 定員
- 220名
- 申し込みページ
- https://www.aij.or.jp/event/detail.html?productId=612834
- 主催
- 日本建築学会 防火委員会