山本一弥「エントランス」

2017年11月03日(金)〜2017年12月03日(日)

この度Gallery OUT of PLACE TOKIOは11月 – 12月の展覧会として、山本一弥による「エントランス」展を開催いたします。

山本は2002年武蔵野美術大学大学院を修了し、その後首都圏を拠点に、あくまでも彫刻というジャンルにこだわり制作と発表を続けてきました。

山本の彫刻においては「重力の可視化」と「エロティシズムの表出」が試みられていると言えるかもしれません。近年の作品は「皺」や「襞」など有機的なモチーフを透明樹脂という無機的な素材に転写して行く作業とも言えます。モデリングの時点ではへらや道具が形状を規定しますが、仕上げの段階で作家は紙ヤスリを手に、昼夜を徹して作品を磨き込んでいきます。つまり作家の指の曲面や動きが、最後のかたちと質感を決めて行くことになるのです。細かく執拗に研磨する事で、まさに作家の身体の一部(指や手)の特徴がそこに刻まれ、完成した作品は自ずと「生物的身体のエロティシズム」を纏うことになります。

作家は日頃、雑誌などに掲載される衣服に寄った皺や起伏のある皮膚の写真を数多くファイリングし、それらを発想源に、重力と人の動きによって生まれる身体性を、作家の目と手を通して表現しようとしています。実際の皺が平面に写し取られたのち、再度立体化され「身体」が与えられるという、3次元→2次元→3次元という行為がその過程において繰り返されます。更に山本の新シリーズでは、その造形物の鏡像体が別の個体として手作業で創られ、左右対称に空間設置されることになります。

今回のメイン作品「エントランス」(4点組)は2mを越す大きな作品です。荘厳な「門」を彷彿とさせる作品は、まるで宗教的な儀式に参列したかのような「敬虔」に満ちたものになっています。もう一つの大きな作品「滲み出す結晶」は、愚直なまでに繰り返される人の行為が、いつしか重力と共に物理現象としてゆっくりと滲み出て、その後結晶化したかの様なそんな作品になっています。

今期新たに展開される山本一弥の彫刻を、是非ご高覧下さい。

日程
2017年11月3日(金)〜12月3日(日)12時〜19時
休み
月・火・水
出展作家
山本一弥
(敬称略)
主催
Gallery OUT of PLACE TOKIO