松家仁之 × 加藤典洋「記憶が織りなす物語」『光の犬』(新潮社)刊行記念トークイベント

2017年11月20日(月)

名編集者として活躍していた松家仁之さんが、デビュー長篇『火山のふもとで』で読売文学賞を受賞してから5年。3年ぶりの新作長篇『光の犬』が10月末に刊行になります。『光の犬』は、北海道東部の町に根づいた一族三代を、そのかたわらでひとびとを照らす北海道犬の姿とともに描いた作品です。

信州に生まれ、助産婦となって道東の町・枝留にやってきた祖母。戦前に隆盛をきわめた薄荷工場の役員である祖父。川釣りと北海道犬が趣味の生真面目な父。子どもたちを頼みに生きる専業主婦の母。幼なじみの牧師の息子と恋をする歩。レコードと本に没頭する気むずかしい始。未婚のまま父母の隣家に暮らす、父の三姉妹――。

祖母の幼少時である明治期から、50代になった始が東京から帰郷し、父母と三人のおばたちの老いにひとり向きあう現在まで。100 年にわたる一族の、たしかにそこにあった生のきらめきと生の翳りが、ひとりひとりの記憶をたどるようにして、行きつ戻りつ描かれます。

松家さんがいま、産まれ、育ち、生きて、病み、やがては死んでゆく人の一生を、家族の記憶を軸にして、それぞれの瞬間を切り取るように描いたのはどうしてなのでしょう。

近著『敗者の想像力』『もうすぐやってくる尊王攘夷思想のために』などにおいて、歴史、社会、政治を、文学のことばでしか辿りつけない深さで語りつづける加藤典洋さんを聞き手にお迎えし、語っていただきます。

日程
2017年11月20日(月)19時30分〜(19時開場)
出演
松家仁之
加藤典洋
(敬称略)
料金
1,000円